
女の子の人生、きいてみよう #08 後編
ラクに、楽しく。
俳優 安達祐実
ラクに、楽しく。
仕事も、下着も、生き方も。
ラクに、楽しく。
好きな服を着て、好きなメイクをして、気分を高める。
だって、ファッションは自己表現の一つなのだから。
自分が心地良い、自分が生きやすい、自分が幸せでいられる。
自然体で、ニュートラルに、一人の人間として。
自分の幸せを大事にして生きることに、罪悪感を抱かなくてもいい。
ラクに、楽しく。
42歳、芸能生活40年を迎えた安達祐実さんの幸福論。
前編に引き続き、安達祐実さんが登壇したウンナナクールコミュ―ンの模様をお楽しみください。話し手は俳優の安達祐実さん、ウンナナクール・クリエイティブディレクターの千原徹也さん、MCは映画パーソナリティの伊藤さとりさんです。
安達さんってどんな人?
ラクに、楽しく。(安達)
- 千原
- 本当にラクなんですよね(笑)。気を遣わなくていいというか、芸能人っぽくないんです。こんなにも芸能生活が長いのに、芸能人っぽくないところが不思議だし、安達さんの魅力ですよね。
- 安達
- 自分でも、芸能人ってどうやって生活しているか全然わからないんですよ。40年も続けているのに(笑)。本当に、わたしは普通です。
「芸能人だから」と特別なことは何も意識していません。たとえば、家事をしている時に指を切ったり、火傷したり……仕事柄良くないことだとはわかっているんですけど、それもあまり気にせずに暮らしています。 - 千原
- 芸能界の人は、その辺り気遣いますよね。たとえば、食事会とかあるとサングラスやマスクをして周囲にバレないようにセンシティブになるじゃないですか。安達さんは、そういうことも全然ないですよね。
- 安達
- もう本当、このままです。どこにでも行きます(笑)
- 千原
- その自然体な感じが、364にぴったりなんですよね。日常のニュートラルさがそのままの人なので。
アイスクリームフィーバー

自分の信じる方を選んでゆく。そうすると、作品の評価自体が全て自分の責任になる。(千原)
- MC
- 安達さんも出演された『アイスクリームフィーバー』では千原さんは映画監督として、「映画制作をデザインする」というコンセプトでおつくりになられたとお伺いしました。
- 千原
- 映画をつくるのは初めてなので、そもそも“つくり方”をわかっていないんですよ。だから、お金の集め方から撮影、編集、PRと、一般的な方法ではないアプローチで制作を進めました。おそらく、他の映画の撮影現場とは少し雰囲気が違うんじゃないかな。
- 安達
- そうかもしれない。でも、監督のイメージする“欲しい画”のようなものははっきりとしているので、とても演じやすかったです。千原さんの思い描く世界はクリアだけど、その中で自由に演じさせてもらえるので、「ラクだなぁ」って。
- MC
- どのようなポイントを意識されておつくりになったのでしょう?
- 千原
- どんな仕事にもセオリーがあるように、映画にもセオリーがあります。そういう“常識”を崩したかった。そのために、意識的に一つひとつの選択を自分本位に決断していきました。
たとえば、AとBの選択肢があったとして、「Aの方が集客できる」と言われても、自分がいいと思ったならBを選ぶことにした。自分の信じる方を選んでゆく。そうすると、作品の評価自体が全て自分の責任になる。
たとえば、他人に言われたことをやっていると、ネガティブな評判が立った時に他人のせいにしてしまいます。そういう意味では、今回の映画制作ではとことん自分本位でいられたことが良かったです。
“女優”から“俳優”へ

女性だろうが、男性だろうが、関係なく“俳優”でありたいと思った。(安達)
- MC
- 昨今、女優から俳優へと呼称を変える人もたくさんいますが、安達さんはどのようにお考えでしょうか?
- 安達
- 昔は、主に“俳優”と言えば男性のイメージがあり、女性は“女優”と呼ばれていました。20代の頃、奥田瑛二さんと共演させていただいた時、「我々の職業は俳優だよ。だから女性も“俳優”と名乗るべきだと撮影現場でお話になっていて、それを聞いた時に「確かにそうだ」と思ったんですね。
そこに男女の差があることに疑問を抱き、「職業全体の呼び名を分ける必要はあるのだろうか」とすごく考えました。もちろん“女優”と名乗りたい人がいても全然いいと思います。でも、わたしは女性だろうが、男性だろうが、関係なく“俳優”でありたいと思った。だから、お願いできる時は“俳優”と表記していただいています。 - MC
- 『アイスクリームフィーバー』では、女性陣たちの心象を細やかに描いていますよね。千原さんの中では、どのようなことを意識されていたのでしょうか?
- 千原
- ウンナナクールのステートメントやコピーライティングをしていただいている作家の川上美恵子さんが『アイスクリームフィーバー』の原作となる小説『アイスクリーム熱』の著者で。彼女は男女の在り方に強い想いがあり、いつも僕は彼女から多くの発見と刺激をもらっています。
たとえば、電車に乗っていても「痴漢注意」と書いてある看板を見て「この表記おかしいよね。どうして女性が注意しなきゃいけないの?男性に向けて“痴漢するな”と書けばいいのに」と言っていて。「注意しろ」と女性に訴えること自体が、社会的に男性優位な社会だと問題提起するんです。僕も言われるまで気付きませんでした。それくらい、自然と男性優位な社会が溶け込んでいます。
複数名がステージに登壇する時も、男性が多いと司会者は女性が選ばれたり。男と女を振り分けるのではなく、フラットに「この人はおもしろいから選んだ」と、一人の人間として考えられているかどうかが大事だと話してくれました。
『アイスクリームフィーバー』は女の子たちの心が通い合うような映画ですが、元々原作の『アイスクリーム熱』は男の子と女の子の話なんです。川上さんと「どういう話がこの物語にとってベストなのか」と話し合って、細やかな設定が決まっていきました。 - 安達
- それは、わたしが“女優”ではなく“俳優”の方がしっくりくることと同じで。性別で人を見るのではなく、自然体で、人間としてニュートラルでいられたら。そんな想いとも共鳴しています。

女の子へメッセージ
- MC
- 最後に、ウンナナクールのキーメッセージである「女の子の人生を応援する」という意味でも、安達さんから女の子へメッセージを。
- 安達
- 「女性であるがために生きづらい」と感じることって、きっと日常の中にたくさんあるものだと思うんです。でも、そういう時代でもなくなってきていて、世の中の意識も少しずつ改変しています。わたし自身、「この歳だから」という心境の変化もあります。
自分が心地良い、自分が生きやすい、自分が幸せでいられる。「自分の幸せを大事にして生きること」に、罪悪感を抱かなくていい。そう思えることができるようになりました。
自分が幸せになることを望んでいたり、そのために生きようとすると、どこかで「ワガママ」とか「自分のことしか考えていない」と思ってしまうことってありますよね。でも、そうじゃない。
わたしたちは誰しも、生まれてきて、死に向かって生きている。その中で、「どう幸せになってゆくか」を考えながら生きることはとても大切なことで、恥ずかしいことでも、悪いことでもないから。ラクに、楽しく。そうやって日々を過ごしていけるよう、自分の心地良さを大切に生きてもらえたらいいなと思います。
40年を迎えて
トークイベントの最後に、誕生日を迎える安達さんへ千原さんとウンナナクールからお花とケーキ、ウンナナクールの商品がずっともらえるギフトカードがプレゼントされ、会場は祝福の拍手で包まれました。
- 安達
- 自由度が高まってきて、仕事はどんどん楽しくなっています。何歳までできるかわかりませんが、やれるところまで続けることができるとうれいしいです。

プロフィール

1981年9月14日生まれ。
東京都出身。
2歳からキッズモデルとして活動を始め、94年の日本テレビ系ドラマ『家なき子』で本格的にブレイク。
同作品の台詞は、新語・流行語大賞にも選ばれるなど社会現象となった。
以降も幅広い役をこなす実力派俳優として数々のドラマ、映画に出演する他、ファッションブランドのプロデュース等、活動は多岐に渡る。
ウンナナクール・クリエイティブディレクター千原徹也プロデュース
安達祐実、芸能生活40周年を記念したアートブック写真集
「YUMI ADACHI 40/42」
10月27日発売 B4サイズ 52ページ
1000部限定
[参加クリエイター]
アートディレクター/映画監督 千原徹也
アートディレクター えぐちりか
アートディレクター 小杉幸一
アートディレクター misato
フォトグラファー 磯部昭子
発売記念写真展
「YUMI ADACHI 40/42」
2023年10月28日、29日
elephant STUDIOにて開催